5月8日 L-R

補聴器というものを付けている。

 

幼いころに患った病気が原因で左耳の聴力はほぼ0である。ただ神経は生きているらしく、かなりの音量を突っ込めば結構聞こえる。そんなこともあって補聴器を入れることになった。

 

病院の補聴器外来を足しげく通い調整につぐ調整、検査に次ぐ検査を経て購入権限が与えられた。調整に約2か月以上かかったように思う。

 

補聴器も松竹梅のようにピンからキリまでである。僕が買ったのは片耳18万。高いです。しかしこれが推奨する最低価格で、高いものだと80万。片耳に18万乗っけて歩くのもひやひやするが、両耳に80万×2をのっけて歩くのも怖い。

 

耳の型をとりイヤーピースも作ってもらい、付け心地は抜群なのだが、2チャンネル空間にいまいちなれない。狭い部屋だと音が回折して違う方向から聴こえる。左にいる人の声が右からも聴こえるという状況に視覚情報とのギャップができて混乱してしまう。

 

きっと普通のことなのだろうが、初体験者には混乱しかない。

 

だが音楽を聴いているときは2チャンネル空間がこんなにも豊かだったのかと毎回新鮮な気持ちになれる。あれもこれもと聴きたくなって何もしたくなくなる。

 

それと左にいる人の声が聴こえること。コミュニケーションってこんなに楽だったんだと思ってしまうほどだ。いままでは左でしゃべっている人の話は聞くことをあきらめていた。そして聴こえないので会話が面倒臭いというほどだった。

 

中途半端に聴こえないことでこんなにも弊害を伴っていたのかと思うと同時に、18万で後悔を買ってしまったのではないのかという猜疑心に苛まれている。

 

もう一つ学んだことは18万も払うと良いものも悪いものもたくさん買えるんだなということ。

 

便利さ、発見、後悔、猜疑心、2チャンネル空間、騒音・・・

 

便利さでいえば、聞きたくない話とか騒音に遭遇したときは、左だけ電源OFFでミュートできるという点。