わけがわからない
何度聴いてもわからない曲の代表として、
PUFFYの「アジアの純真」がその1つに入るのではないだろうか。
あたかも意味がありそうに歌っているが、まったく意味がわからない。
ただ、「白のパンダを~」や「地図の黄河に~」というサビの部分は妙な美しさを秘めている。
詩学的に言えば、前半のタタタン(短短長格)のアナパイストス的リズムから、タンタタ(長短短格)のダクテュロス的リズムに変わる部分でもある。
このダクテュロス的リズム(タンタタ)は、軍歌でも使われることが多かった。
遡れば、シューベルトだと「旅」や「さすらい」をイメージする要素にしていることもある。
例えば、「星 Die Sterne C939 op.96.1」や「さすらいの人 Der Wanderer D489 op.4.1」がその代表だろう。
このリズムは、叙事詩でも歩行のリズムを表現しやすいことから、「英雄詩形」なんて言われたりもする。(ダクテュロス・ヘクサメトロス)
あーだこーだ言っても、
歩行のリズムとして、タンタタ・タンタタは気持ちが良い。
そうゆう意味では、「アジアの純真」について意味がわからなくもなくなってくる。
小気味の良い世界旅行だと思えば、アクセスラブしちゃってもいいんじゃないかと思えてこないだろうか。
また、前半は前半でダクテュロスの逆形であるアナパイストス的リズム(タタタン)で進行していく。
かなり秀逸な作り込み・・・
「タタタン」と後ろにアクセントを持たせやすいリズムの特徴を活かして、疾走感を出しているし、わけのわからない言葉を詰め込み放題となっている。
つまり、我々はこの曲を聞き始めた時点で、
わけのわからない言葉の羅列とともに、
「わけのわからないところ」へぶっ飛ぶしかない準備がなされているのだ。
仕方なく、大人しく、「ぶっ飛び」ましょう。
そして、最後の最後にフィルターのかかった声で「あ~くせ~すら~ぶ」と連呼しながらアナパイストス的リズムへ戻っていく。
旅行好きな自分としては、
「正直もう勘弁」と思いつつも、「もう一周してもいいんじゃない?」と葛藤してしまう。
まぁ、
とりわけこれが歌詞で徹底されてしまうと、B-DASHの「ハーコー」になってしまうのだろう。