言葉の問題

「デザインする」ってすごく安易な言葉に聞こえる。
なんでも「デザインされている」といえば聞こえはいいけれど、何にでも当てはまりすぎて、結局何も言ってないように思えてしまう。
その「デザインされている」というものが、「造形」しているのか、「技巧」しているのか、「造作」しているのか、「図案化」しているのか、はたまた、「思案」されているのか、そのある物を表現するにはもっと適切な言葉がたくさんあると思う。
例えば、横尾忠則さんのポスターと東京オリンピックのエンブレムを比較したとき、それらは「デザインされている」と同等にいえるのだろうか。横尾さんのポスターは「表現」をしているし、オリンピックのエンブレムは「図案化」されている。「すばらしいデザイン」という汎用性の高い言葉ですべてを片付けるには些か言葉が足りない。
それらの言葉を差し置いて「デザインされている」と言うことは、一体何を言いたいの?と思わせてしまう。「美」と「芸」が近そうで近くないことを言っているのと同様に、「デザイン」の中に包括されている物々の相対関係は、何を抽出するかによって全く比較のしようが無いものを選んでしまうことさえあるのではなかろうか。
(比較をする必要はないのだけれども、「デザイン」という言葉の幅の広さを説明するために便利な手法だったので比較しました。)