棲まう

荒川豊蔵資料館にて

旧自宅の改修が終わったようで、特別大公開されていました。

大変地理風水の良きところで、空気が凛としています。

森の記憶というのがあるならば、ここはどんな記憶をもっているんだろうか。









白洲正子「かくれ里」1971年, 新潮社 より引用。


床の間には、いい信楽の壷に、鉄仙が一輪、掛物は光悦の書で、「二十六日に」なんとかと書いてある。そう言えば、今日は二十六日であった。途中つんだ山菜といい、こういう心づかいといい、私には何よりの御馳走だ。荒川さんがいい生活をしていると書いたのも、贅沢という意味ではなく、自分にも他人にも、こころの通った付合いをされるからで、それこそ豊かな暮らしというものであろう。そうゆう暮し方を荒川さんは、焼きものから教わったに違いない。ろくろを回す手の中から覚えたと思う。さらにいえば、その背後にある茶道の世界ではなく、お茶の飲み方も知らない(と荒川さんはいわれる)自由な生活の中に。光悦も信楽も、ここでは美術品ではなく、日常の暮しの中に何げなくおさまって、そのあるべき姿に還ったように見うけられる。






かくれ里 (講談社文芸文庫―現代日本のエッセイ)

かくれ里 (講談社文芸文庫―現代日本のエッセイ)


縁に随う (1977年)

縁に随う (1977年)


それゆけ茶人

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