BL=セックス?

 

十代の性典 山田参助青春傑作選

十代の性典 山田参助青春傑作選

 

 

数多くのBLを漁っていると、時々、これはBLなのか…と思わせられるものに出会うことがある。

 

おおよそBLという種類の本にはフォーマットがあり、男の子同士が出会い、Sexし、別れたり、同棲したり…と、はたまたシチュエーションを色々変えてセックスの部分を取り上げてみたり…と大体はセックスの話である。

 

さて、今回はどんなセックスかな、と開いてみたのがこの「十代の性典」(著:山田参助)である。幾つかの短編の総集版である。セックスの話ばかりなんだけれども、どこか人間の業というものが、あっけらかんと書かれているように見えた。あれ、これはBLという範疇で括ってしまっていいのかしらん。

 

男の子とセックスしてみたり、女の子とセックスしてみたり、それは登場人物が自らの性というもの確認しているかのように、セックスを試みている。「俺はホモなのか」「俺は女の子が好きなのか」。でも、友達とフェラしたことを思い出してオナニーしたらいつも以上に気持ちよかった。

 

どこか性というものが、とりわけ男に限って言えば、未分化なものであるということを証明されているような気持ちにさせられる。「業」の肯定、立川談志は落語をこう評価したけれど、もしBLも落語のように、そうした人間の業を洗いざらい書き出してしまう分野なのだとしたら、この本はその傾向がとりわけ強いといえよう。

 

セックスを象徴的に祀り上げるわけでもなく、俗物的だとさらしものに会うわけでもなく、業に支配された人間がここには描かれているようにみえた。ゲイだとかレズだとかヘテロだとか、そんなところに一切こだわる様子も見せず、人間の性の欲深さ、奥深さを蓋然的に切り開き、そんな隙間からやっぱり欲望のありのままを覗いているような感覚にもなる。

 

人間はこうゆうものだ。

 

そう考えると、はて、これはBLなのだろうか、と私の頭を悩ませる一冊になった。