涅槃のためのソリチュード

 

大いなる噴煙の中で滔々と呻る合唱

 

全体主義の中で一人座禅をくみ

 

歴史の線を指でなぞる

 

呵責、忘却、初志貫徹

 

邪念は適正な膨張率で増加し

 

不可逆的に小さな山となっていく

 

大きな雲の中で山の神に指針を尋ね

 

調子の良い子供たちが麓で歌をうたっている

 

茶番は数々の恥辱を生みながら

 

情報が統制され、制御不能に陥る

 

明日葉を鍋でかき回し

 

牛蒡の芯が蒸発した

 

調律師は綿花の雄蕊を観察するも

 

菌糸は蔓延り

 

音なく、レコードが回る

 

時間だけが過ぎ、レコードの盤面は菌糸で埋め尽くされ

 

針が菌糸の音を紡ぐ

 

紡績工場の機械音が鳴り止む頃

 

菌糸は涅槃のソリチュードを歌い始めた