アパシーな春秋物語
鯉の寝床
網海老が朱雀の門からやってきた
大きな紫蘇に寝床を奪われ
春の宵更け、鯉所
お化けいざらむ
夏のまどろみ
化けた昆布の恥知らず
おどけおどろく
吐き出す蜃にとろけだす
欺き眠き牡蠣滔々と
朱鷺、当然とドロンとはっぱ
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ああ、古本屋に入り浸りたい。
あのえもいわれぬ法悦感はなにかしら。
狭い書棚の間で奇譚クラブをこっそりひらく
誰にも邪魔されない、魅惑の隙間
古びたパラフィン紙にくるまれた粟津潔のデザイン画を見たときのような
家を建てたら書庫を作りたい。
本棚が床から天井まであるような部屋である。
扉を開ければ書棚。そして、
書棚の隙間を縫う様に進むと
一客のテーブルと椅子がある。
読書灯が一つ点り、テーブルには古今東西の品々が所狭しと並んでいる。
そんな書庫兼書斎でもある。